マドモアゼル オニオン
マドモアゼル オニオンは、初対面の人が苦手で、うまくやって行くのがむずかしく、決して譲らない自己主張の末、刺激的な匂いを発散し、相手はたいてい目がいたくなって、[ああー、もう嫌!勘弁して!]とにげだしてしまうのでした。
しかし、マドモアゼル オニオンとひとたび親しくなると彼女ほど優しく情のあつい人はいなく、彼女のよさが分かると彼女のそばにいたくなって、彼女の存在は不可欠と感じたのです。彼女の家にいくと、いつも美味しい温かなスープを作ってくれ、いつも違った味がしましたが、どれも体が気持ちよくなるので、女の人でも男の人でも彼女と一緒に暮らしたいと思わずにいられません。
マドモアゼル パンプキンやマドモアゼル サラダはいつも彼女のそばからはなれませんでしたし、お互いいいハーモニーをたもてました。ムッシュー マトンやムッシュ ゴートは彼女には自分が一番似合うと自信たっぷりで熱烈に求婚していました。
たしかに、マドモアゼル オニオンは他とちがっていました。マドモアゼル
ピーチは一見、甘くセクシーですが、二目,三目で、あきちゃってべとべとが残るから手を切りたくなっちゃうし、マドモアゼル ローズはみるだけならよいのですが、ちょっと近づくと痛い目にあって、さらにつきあっていると、なんの実りもないうちに汚らしく老化して、それでもなお「わたし、きれいでしょ」と言わんばかりなのが嫌で、逃げ出したくなります。マドモアゼル デイジーは可愛らしく無邪気のようですが案外すみにおけないちゃっかりやなのだと聞き、あまり長くつきあうと疲れちゃうそうです。
結局、マドモアゼル オニオンのハートを掴んだのは,ムッシュ オニオンでした。ムッシュー オニオンも取っ付きが悪い人でした、始めはマドもアゼルオニオンとうまくいかなかったようでしたが、つきあっているうちにお互いのよさが似ていることが分かって、信頼し合う様になりました。なんと言っても説明なしでも分かり合えることがよかったみたいでした。二人ともとてもやさしく、自己主張がなく周囲にとけ込み、周囲を引き立てるひとたちで、ムッシューとマダム オニオンの家には暖かさがあると、みんなが集ってきました。