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オオニシ恭子の薬膳日記

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薬膳日々

福島市の公民館でする予定が、急遽[野菜カフェはもる」に変更。皆さん来たくても働いていてこれない、他県からの物買うので配送料がかかったり、自然食品店のもの買うので生活費が火の車で共稼ぎで、収入を得るので必死です、という。それでは皆さんが来れる夜にやりましょう、と言ったのですが、結局時間通り少ない人数でやる事になった。
朝、新妻氏が7時半に来てくれ福島市にむかう。途中山あいにはいると線量計はぐんぐんあがり、
0.3−0.4usv/hになり、新妻氏は特製のマスクを付けてください、という。私と宮一さんはマスクをつける。線量計は不安定に0.3−0.4の間の数字を示し、ずーと危険信号を発し続けている。車内での数字だから外は5−6に上がるそうです。
前方に安達太良山の少し雪をいただいた、美しい姿を見る。
『智恵子は東京に空がないという。本当の空が見たいという。
私は驚いてそれを見る。
桜若葉の間にあるものは、
切っても切れない昔なじみのきれいな空だ。
どんより煙る地平のぼかしは
臼桃色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言う。
阿多々羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子の本当の空だという。
あどけない空の話である。」

高村智恵子さんの空はもうない。マスクをして望まねばならない安達太良山、安達太良山にも大きなマスクが必要になってしまった。

福島市駅前は立ち入り禁止なほどの線量であり、国は福島市民を全部疎開させてもよいほどなのだそうだ。福島の人々はマスクをしていない、それは市がマスクを歓迎していないのだそうだ。
マスクをしていると、やっぱり危険なんだという事になって観光も交易も成り立たないから安全なふりをしなければならないという。

なんと言う事態、忌々しい事態。多くのひとが希望を失いどうしてよいかわからず、事実からはなれ、危機意識を回避している。それでも命がけで必死に働いている人もいる。この忌まわしい事態に個人の人生をささげて命を蝕みつつあるのを覚悟して原発の処理に従事している人々がいる。そういうひとがいなかったら日本はころげ落ちて行く時間の猶予さえもなかっただろう。いまかろうじてまだ猶予の時間画与えられているのだということを認識し、みんなでなんとかしなければならないのでと現地にきてひしひしとかんじてしまっています。

比較的若い人があつまった講習であったが、不安そうな、感情を失ったかのような雰囲気がありましたが、気を楽にするよう話しつづけ。次第にうちとけて、試食の時から『おいしい」が転機をつくり、山梨の話にも興味を示し、そして又薬膳の勉強したいという事になりました。
それぞれの問題をうち開けて相談してくる感じとなりました。
帰りは希望を少しはもって帰って行ったようで、来てやりがいがあったという感じがしました。
少ないからと言ってキャンセル案もありましたが、しなくてよかったという感じがしました。

連日私を車でつれていってくださる新妻氏にとても感謝です。氏は全ての記録を撮っています。福島の惨事を嘆きながらも、智恵子さんのように、私は人のなかに安達太良山の青い空をみています。

2012年5月20日
by kyoko-yakuzen | 2012-05-20 21:36