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オオニシ恭子の薬膳日記

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オオニシ恭子の艸ものがたり。ローズとマリー



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ローズとマリー


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村のはずれに住むローズとマリは双子の姉妹でした。二人はいつも一緒で子供の頃からいつもお揃いの緑色のワンピースを来てつばが3つに分かれた薄紫色の帽子を被っていたと村で一番年をとっていたおじいさんから聞いたことがありました。おじいさんがローズとマリーを見たときは、姉妹は十五~六歳だったといいます。それは二人が大人になってからも変わらず、いつも静かな優しい顔をして、二人は寄り添うように一つの篭を片方づつの手に一緒に持って歩いているのをよくみかけました。村人達はあの双子の姉妹が何時、何処から来たのかもよく知りませんでしたが、近寄りがたい気品があったのです。不思議な姉妹だと思っていたのですが、村の人たちはとくに害のない双子をそっとして、あまり近しくはしていませんでした。

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  ある時、村ではやりの病で死人がでることもありましたが、彼女達はいつもと変わらず病気になった様子もなく、篭にいっぱい香り高いお菓子のような物を入れて村人に配って歩きました。それを食べた人たちは間もなく元気になったので村人達はローズとマリーをいつしか敬う様になっていました。

 私が都会生活に終止符をうって、村に帰ってきた時、村はお葬式でした。弔問にいくと、それはローズとマリーが二人一つになったように、お棺の中で閑かに眠っていました。誰も二人の年をしらなかったのですが、もう百五十年くらい前から村にいたそうです。
それでも二人はそんなに年をとっているようには見えず、私が村を出た30年前と同じように緑色のお揃いのワンピースと3つのつばのついた薄紫色の帽子をかぶり、うっすらと笑みを浮かべ頬を寄せてよりそっていました。二人の手はしっかりとむすばれていて、二人で同じ夢をみて楽しんでいるようでした。

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 二人の住んでいた村はずれの家の庭では村ではやり病があった時、姉妹が配ってくれたお菓子を思い出させる香りただようローズマリーが、ちいさな薄紫の花を咲かせていました。よく見るとそれは一つの茎から双子のように咲いているのでした。


by kyoko-yakuzen | 2015-01-19 17:37